日本人が大好きな坂本龍馬。
その龍馬を、脳機能の側面から切った、茂木健一郎氏による快作です。
龍馬を扱った作品は数多く存在します。
つい先ごろの大河ドラマも龍馬が主人公でした。
今までの龍馬作品には、なんとなく入り込めませんでした。
現代の感覚に合わせた脚色、龍馬自体の性格の極端なデフォルメの感じ。
嘘くささが伝わってきて、そんなわけないだろうという反発心が起こってきて嫌になってくる
結局龍馬自体がどんな人なのかがよくわからなかった。
知りたいのは、龍馬がそこらへんにいるおじさんと変わらないということ。
この本は、龍馬の人間性がすんなりと自分の体の中に入ってくるような気がします。
所々に散りばめられた彼のエピソードは目新しいものが多く、新鮮でした。
竜馬は26歳の時に土佐藩を脱藩しています。
それは当時の価値観に照らし合わせてみれば、無謀そのもの。
この本のキーワードは「脱藩」です。
とにかく既成の枠組みから一旦はみ出してみることの大切さ。
ドロップアウトとの違いが難しいところです。
成功すれば、ヒーロー。
失敗すればアウトロー、変人扱い。
いくつになっても自分のモノサシで歩いていくことの大切さを教えられました。
暑苦しい龍馬本が苦手な人にはおすすめです。
「やるしかないんじゃけんのう」という、土佐弁もどきが口をついて出てくるようになるほど元気になれます。