2011年4月30日土曜日

アウトレイジ

映画「アウトレイジ」を見ました。
2010年、北野武監督の作品。
以前から気になっていて、ようやく観ることができました。



とにかく怖かった。精神的に恐いのではなくて、肉体的に恐い。
骨折治療の病院に行って、帰ってきてから見た。
まだ骨がつながっていない状況で見たので、さらに恐怖が倍増(笑)
怖すぎて、画面を直視できないシーンが数回ありました。
外国ではブーイングや、終了前に席を立つ人がいたというけれど、その気持ちも分からなくはない。



今までの北野作品史上、もっとも暴力的で、シーンの生々しさがとてつもない。
暴力シーンの描写もすごいが、音がすごい。
怖いけど、嘘臭くなかったので、そこは嬉しかった。
この映画の音の担当の人は非常に効果的な仕事をしている。



たけしの組の中でも、一匹狼的な役を演じた、椎名桔平の姿に惚れた。
彼の恫喝の一言、一言の熱の入り方がすごい。
「いきがってんじゃねえぞ、こら!!」
一瞬で自分を半狂乱状態に持っていける、彼のスイッチは周りの役者に比べて別格に見えた。
キレているヤクザがかっこいいとかそういったレベルではなくて、椎名桔平という役者、人間そのものが持っている全部がかっこいい。それはもう説明がつかない。
花がなんで美しいのかわからないのと同じこと。



組員役の、森永健司の死に方もよかった。
車に乗って一人逃げている。組が壊滅の危機。
とにかく追われている。向かうあてもない状況。
前を走っているベンツが、いきなり止まる。
やるしかないと腹を決めて、拳銃を手にして車を降りる。
そしたら、横から来た車から、頭を射ち抜かれる。
このシーンは、死に様にこだわる男には、ぜひ見てもらいシーン。



警察もヤクザも出てくる人が、「全員悪人」。
裏でいろいろやっている人間。賄賂も取引も何でもあり。
裏切りも、殺しも、とにかくのし上がっていくために、何でもやる。
ここまで露骨に表現されると、逆に気持ちいい。
組織の中で生きる人間の虚しさと、はかなさを端的に表現している。



モヤモヤしている時には、また見たいと思う。
でも、実際に社会ではやらないでください。
自分の組のシマで勝手にヤクの取引をやっている、ラーメン屋の店主の親指を切り落としたりしないでください。



87点。