2011年6月14日火曜日

PARISの人々

映画「PARIS」を観ました。
2008年公開のフランス映画。



自分の生きる時間があとわずかしかないと知った男が、ベランダからパリの街を行きかう人々を眺める。今までは気にならなかった人たちのことが、生き生きと見えてくる。『スパニッシュ・アパートメント』や『猫が行方不明』など、大勢のキャラクターが織り成す軽いコメディが得意なセドリック・クラピッシュ監督だが、今回はパリに暮らす人々をいつもよりややシリアスなタッチで描いている。エッフェル塔、モンマルトル、モンパルナスなどパリの名所も登場するが、主役はパリに生きるさまざまな人々。他人から見れば些細なことだろうが、一人ひとりには大きな事件かもしれない。そんなことを描かせたら、やはりフランス映画に勝るものはないだろう。(goo映画より引用)



セドリック・クラビッシュという監督の作品です。
監督は以前、「スパニッシュ・アパートメント」を撮っている。
雰囲気がよかった。面白かったです。
そして、また偶然にこの監督の作品に出会いました。
この監督は素晴らしい。
映画の本質を知っている。



ある日、医師から心臓の病気を診断された男性。
移植しかないと言われます。成功の確率は50パーセント。
自宅で手術まで療養する男性。
看病に来てくれた姉と、その子どもたち。
窓から見たパリの町の景色と、通りを行き交う人々の様子。



それぞれのショートストーリーが、劇的に絡み合うのではなく、つながっているのかもしれないなあと思わせる程度の交わり方を見せる。
その交わり方が素晴らしいです。
誰かの不幸も、街を行く人には分からない。
何かしらの問題をかかえて、生きていくしかない人々。
そして、思いがけないところから、人との出会いがある。



病院へ向かう、主人公の男性の最後の言葉が胸に刺さりました。
「ただ、生きていることを、人は幸せに感じない。」



僕も、この歳になって、ようやくただ生きていることの幸せが、少しだけわかった気がしました。



89点。