一作目の「大日本人」を見て思ったのは、映画をバカにしているということでした。
だから、2作目が出たときも、いらだって見ないようにしていた。
しかし、やっぱり見てしまった。
パンドラの箱を開けるような感覚です。
怖いもの見たさの人間の欲求です。
今回の「しんぼる」を見終わったときは、それほど腹が立ちませんでした。
映画というフォーマットに松本氏が慣れてきているということもあるでしょう。
長かったが、前回よりは見やすかった。
彼は天才すぎて、今まで自分の思い通りにやって来たのでしょう。
何かを教えてやる人間もいなかったのかもしれない。
彼は現在、3作目の制作に取り掛かっています。
さらに冒険するとも言っている。
その意欲はいいのですが、映画というフォーマットを選ぶなら、そのやり方を愛する必要もある。
彼には、まだ映画に対する敬意がない。
テレビでできなくなったことが多いことも理解できる。
しかし、それをそのまま映画でやろうとすることだけはやめてほしい。
人は映画を見ようとしているのです。つけっぱなしのメディアと、2時間をそれに費やすメディアの違いを把握してほしい。
人の2時間に対する敬意があるかどうか。
彼も色々迷っているのだと思います。
北野武に次ぐ、芸人からの映画監督として、世界にその表現を見せて行って欲しいのです。